2016年11月6日日曜日

浮城茶屋の意味~その1~

今年の浮城祭りから来年の浮城祭りまでの1年間の契約ではありますが、みはら歴史館の前でオープンカフェをする機会を得ました。小早川隆景が築城した三原城は海から見ると浮いて見えることから「浮城」の異名を持ち、その築城450年を記念して作られた歴史館。並べられた資料は三原という地域を知るきっかけになり、今を生きる自分の過去や将来をとらえるきっかけになるんじゃないかなと思っています。

「浮城茶屋」はそんな場所に来られる方々の「おもてなし」の意味も込めて作られましたが、大筋は「市民が活躍する場」「雇用が少ない駅前や障害などで働きづらい方々の雇用を生み出す場」という意味もあります。私なりに考えてこの場を作ってきたので忘れないうちに書いておきます。

コーヒーがサーバーで注がれて1杯100円。安価にして大丈夫?

この場所はできるだけお客さんにお越しいただく必要があります。安い、うまい。が売りではありません。仕事ができる喜びを、働く人も消費者も、いろんな人に感じてもらう必要があるなと思っています。働く原動力はもちろん給与もありますが、やはり「意欲」です。そのためには、広く浅く多くのお客さんに来ていただく必要があります。
この近くで毎日仕事をしている人。三原駅周辺で暮らしていて散歩や用事があって徒歩の人。遠くから三原に来た人。JRやバスを待つ人。通勤通学をしている人。お友達とかとちょっとお話をしたい人。このサンシープラザを利用している人。いろんな人がいますが、その人たちがまんべんなく来ていただかなくてはいけません。しかし、通勤通学の方(15歳くらいから60歳代くらいの方々)は朝早くか夕方遅くに提供しなければならないので、ターゲットにはなりません。近くで働いている人やサンシープラザを利用する人たちはお弁当販売をしていて、お付き合いも広がっていました。しかし、まだ開拓していないのは遠くからくる方と散歩している人やちょっとお友達と歩いている人たちです。遠くからくる方は三原は案外多いです。新幹線の停車駅ということで企業の方が多いと思います(観光客は尾道か竹原に行っちゃいます:涙)。

参考になったのは、週に3日間している屋外での野菜などの販売です。月曜日と木曜日と金曜日は屋台形式で世羅からの新鮮な野菜や果物が近くで販売されています。
「定期的にこの時間に来れば何かがある」ことで人が良く集まっています(残念ながらどちらも三原の企業ではないのですが…)。
そして、ここに来れば平均的な何かがある、という感覚があります。非日常ではなく日常にあることが大切だなと。あまり突飛なものでなくてもいいかなと。

それともう一つは、福山にある(株)ワンライトの高橋社長の一言でした。障害を持った方には繰り返しの作業を多くする方がええんじゃろ。ミンチカツを揚げるとか単純な作業の繰り返しでお客さんとコミュニケーションできた方がいいじゃん。」いやー作業療法士なので、こういうことは当たり前に分かっている(はず)なのですが、この視点に敬服しました。

コーヒーを入れること。それも美味しいコーヒーを入れることは私たちにはなかなかできません。やはり人の手で入れたコーヒーには味も違えば、なんだか「煎れてもらった」という付加価値も付いてやはりおいしいです。こだわりの味はそのお店で。「浮城茶屋」では繰り返し作業ができて、少しの間落ち着けるような時間をサンシープラザを仕事や健康教室などに来ている人たちや遠くからくる人に提供しよう。ということに考えました。

できるだけ日常になること。これがとても大切だなとと思い、今回の主力商品はコーヒー1杯100円にしました。できるだけ、数多くの方に来ていただくため、テイクアウトが生命線かなと。しかし、最近のコーヒーマシンは侮れず、美味しいコーヒーもでるので、店内で飲む方はカップも準備することにしました。

…とここまでの考えの基本は私の中にありましたが、ここでおひとり強力な助っ人が現れました。以前からお付き合いさせていただいていた道の駅の駅長さんです。マーケティングの考え方、人にウケる仕かけつくり、製造する人と消費者の両方を知っていて、しかもご自身の経験や考え方を惜しげもなく披露していただき、フットワークもとても軽いです。この駅長さんの知恵もお借りして、商品を決めていきました。

作業療法士の仕事は、地域の中で個人や集団に対して、その方のやってみたい、やらなくちゃいけないこと(作業)を中心に関わりながら生活しやすくする仕事です。今回の場合は、障害を持つ方や働きづらい方々の雇用を生み出すために、繰り返しの作業が含まれる仕事を提供すること。そのために三原を知る機会となる歴史館の前で、近隣で仕事やお友達との交流をする方々の日常になるような場を提供する。ことです。その接点に「コーヒー100円」があります。

長くなったので、第一巻はここで終わりです。他にもまだまだ浮城茶屋物語はあるのでいつか忘れないうちに書きます。
長文をお読みいただいた方ありがとうございます。

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