2018年12月23日日曜日

「帰ってきたヒトラー」を観た

以前から気になっていて観ていなかった映画「帰ってきたヒトラー」を観た。この映画は2014年にヒトラーがタイムスリップして今のドイツの状況を批判しながら、独裁者であるヒトラーは絶対悪なのか、独裁者をドイツの民衆が選んだ結果として独裁者ヒトラーが生まれたのか、という難しいテーマを描いている。何といっても、リアリティーとフィクションが混ざっていて、観ている方も本当にタイムスリップしてきたんじゃないのか?現在のドイツはいったいどうなってるんだ?と混乱してしまうくらいの出来栄えだった。リアリティーが感が強いのが、実際の市民や党首まで出てきて完全にアドリブだったり突撃取材したりして、そのまま映画に使っていること。あのドイツ。ネオナチ、極右もいれば極左もいて毎日のようにデモ行進しているような中に、まさに軍服で入っていくのである。身の危険もありながらの撮影だったらしいが、そこまでするのがすごい。しかも、ただのバラエティ映画(映画の中ではバラエティ感もあったが)ではなく、誰の心の中にもある独裁者がヒトラーを生んだのだという強烈な締めセリフ。テレビ番組を観ては奈落の底に落ちている無様な姿を世間にさらしていると批判。また、映画「最期の12日間」のオマージュも含まれるシーンなど、ただの映画ではなかった。
私が思ったのは、今の日本も同じじゃないか?と感じた。移民問題は、外国人労働者の問題と大きくかぶる。愛国精神とかいうと違うと思うが、日本人としての生き方や信念は大きく揺らいである。単純に多様化とか国際化ではなく、やはり独立と自立の精神から、個の確立と、個の成長のひとつの過程として多様化していく必要があるのだが、形だけが先走っていると思う。この映画でも貧困、環境問題などは取り上げられているが、ドイツでも日本でも軽視され、主要な議題にあがることはかなり少ない。外から労働者やお金を持ってくるのではない、この地域の人たちでできる社会を作らなくちゃいけない、というメッセージは同じだなぁと感じた。
誰の中にでも独裁者がいて、ヒトラーがいなくなっても誰かがその役割を演じる。アメリカ、ブラジル、ドイツ、日本と独裁的な指導者が現在は多くいる(共産主義はのぞいてだ)。時代は独裁者を望んでいるのか?ドイツから学ぶものは非常に多い。この映画でそれを感じた。

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