2013年7月16日火曜日

家具屋さんの工場をミタ

今日は来週に予定している市内の家具を作っている会社見学の打ち合わせに行きました。三原市内で家具を作っている工場はあるのかもしれませんが、この会社は船舶家具…船に設置されるイス、ロッカー、机、棚などを作っています。船でも旅客船や貨物船で大型の船に設置される家具です。正直なところ、船舶家具なんてどれくらい需要があるのだろう?と思って行ったのですが、これがすごい!広い敷地に多くの木材加工、スチール加工、縫製の機器がならび、多くの家具が作られていました。考えてもみれば船に乗せる家具なんてどれも規格が違って当たり前で、既製品ではかなわないものを作っていました。船は特有の揺れ、エンジンの振動だけでもものすごくあるわけでして、そういった特殊な構造をした物も見ることができました。
中国地方には、こういった船舶家具を作っている業者は1つしかないらしく、独占しているようなものですが、海外…韓国、中国、台湾など安価で作る業者におされているそうです。
打ち合わせをさせていただいた常務さまいわく、自分が作ったものが世界を渡っていくことを創造しながら作りなさい。今ここにあるものが、世界を旅していって、座るイスに癒されたり疲れをとったり…その基本を支える仕事をしているんだな、と思うととてもやりがいのある仕事だなと思いました。
大きな企業に就職する傾向が強く、非正規雇用も多い世の中。こういった職人の技みたいな仕事で、やりがいのある仕事が地域から世界に出て行っているかと思うと、わくわくしました。本番は来週のための下見でしたが、私が勉強になりました。ありがとうございました。あっ。社長さんが差し入れていただいた缶コーヒーがめちゃ美味しかった。というか嬉しかった。

2013年7月14日日曜日

軽トラ朝市と子どもオリンピック

今年度に入って三原駅前市民広場でちゃんくすが主催する子どもオリンピックは軽トラ朝市といっしょに活動しています。今日は、夏の日差しの中での駅前広場でのイベントでした。
ちゃんくすには、とても豊かな作業があります。年齢や学歴によらず、ひとつのことをするととことんする方々が多いです。スイッチが入ると、手段も選ばずにする人もいます。それが、社会のルールにのっとっているかと言うと、ちょっと自信がないときもあります。でも、その作業はとても魅力的だし、周りを豊かにすることも多いです。
いろんな人にそういうことを知ってもらえば、周りの人も協力してくれます。だから、できるだけ顔と顔をつき合わせる形での交流ができるような機会を作っています。それが、子どもオリンピックと軽トラ朝市を一緒にしている大きな理由です。
駅前広場っていう場は、さまざまな交流を生み出す場なのだと思いますし、そう在りたいと感じています。子どもと大人、農家と消費者、団体と団体。人と人だけではなく、いつもやっていることを他の人と共有するだけでも楽しめたり、人生が豊かになったりするのだろうと思います。
今日は農家さんにたくさんの野菜をいただきました。これもあげるけ、彼に調理してもらえばいいよ。これも焼いてみたらちょっと違う楽しみ方もあるよ。農家さんならでは食材の活かし方を知っています。見た目はちょっとちゃらいですが、調理に一所懸命の方もいます。いろんなことが混ざり合えるようになればいいなぁと。課題も多いけど、駅前広場は可能性を持った場なのでしょう。でも、せめて影があったらなぁ。もう少し快適に過ごせるのになぁ。暑すぎるよ...。
写真は、そんな農家さんの気持ちも入ったホイル焼き。美味しかったですよ。

2013年7月10日水曜日

サッカーミュージアムにて

本町にはサッカーミニミュージアムがあります。以前、このブログでも紹介しましたが、長友の日本代表のユニが展示されたり、サンフレの西川ゴールキーパーの手袋が展示されていたりと、とにかくサッカー通にはたまんない場所です。今日は、その主宰者の方に学生さんと一緒にインタビューをしました。学生は県立広島大学の学生でして、今年一年本町で一緒に活動することにしておりまして、インタビューをしてまわっています。
学生さんがインタビューをするのと、これまた私はCOPM(カナダ作業遂行測定)というのをしました。これはその方の「やってみたいこと」とか「困っていること」を話し合いで明らかにして、大切な度合い、上手くできている度合い、満足している度合いを10段階で本人にスコアをつけてもらうものです。単純なものなのですが、点数がつくこと、関わった度合いに応じて点数が変化していくこと、何よりもその方と私の間で何か必要なことで、何をしていきたくて、そのためには何をしなくちゃいけないか、がわかります。
主宰者の方とお話をしていると、さすが自分の考えがあって私財を投げ打ってまで改装してミュージアムをしているだけあります。いろんなこと(作業)をしていました。ただお客さんを呼ぶのではなく、自分のやりたいことを形にしているなと感じました。やってみたいことの規模が大きいので、いろんな人が関わっています。地域のこと、現在の将来のサッカー界のこと、街のこと。こういう方とお話していると、自分の活動の幅の狭さというか、そんなのを感じます。
お話を聞いている中で驚いたのが、自身のサッカーの歴史である、高校サッカーの新聞を全部とじてひとつの冊子にしていること。ページ数は1,200ページ。私の生まれる前からのサッカー部の新聞がつい最近のまで1つの冊子になっています。ひとつひとつが積み重なると、重みを感じます。きっと、この中に出る高校のサッカー部の卒業生は、懐かしく思うのと、きっと大事に思われていたんだなと感じるはずです。とにかく素敵でした。やはり、地域で生きている人は違うなーと感じました。

写真はそのミュージアムの一番目立つところに貼っていたもの。中学生の県大会の組み合わせ表。三原の中学校は赤で書いていて、これまたいいじゃないですか。

2013年7月2日火曜日

瀬戸内の島の特別支援学校相談日でした

年間数回ですが、瀬戸内に浮かぶ島にある特別支援学校に作業療法の相談日として訪問しています。今日はとても天気の良い正直ドライブ日和。しまなみ海道を車で行くこと三原から約1時間。因島の入り口にある特別支援学校です。

この学校は、以前は地域の小学校として使われていました。学校としてはめずらしく借地に立っています。今からなんと130年くらい前、地域に学校が無いことを懸念した地元の人たちが寄付金を集めて土地を買い、整地しそこに教育委員会が学校を建てたのが始まりだそうでして、その名残で運動場の端っこには未だに130年前に寄付金を拠出した人たちであろう石碑が並んでいます。また、地元の名士の方の名前がある部屋もあります。ですので、運動会も特別支援学校の学生さんだけでなく、地元の町内会の運動会も合同で開催されています。

私が担当するのは主に高等部。今日は高校3年生の皆さんと1日時間を共有しました。高等部を卒業するとほとんどの方が就職します。しかし、これまでこの学校から一般企業に就職したのは昨年度が初めての1名です。この数字にはいろんな意味が含まれています。

一般企業に就職する希望がないのか?というとそれは違います。多くの方は希望を高等部の最初の頃には持っています。しかし、卒業が近づくにつれて次第に無理なことに気づきます。
ひとつは、一般企業に就職する場が無いことです。島には企業がありますが、多くは造船関係や農業や漁業です。造船関係はいろんな企業がありますが、普通でも雇用がありません。また、重労働でも知られており、なかなか障害者が出来る仕事か?と言われると難しいのが現状です。
農業や漁業も求人はほとんどありません。普通高校を卒業しても就職は多くの方は島を出て就職しているようです。

では、島を出て就職しようとすると、今度は通勤が出来ません。公共交通機関で本土に行くにはバスですが、これが最寄のバス停から尾道駅まで約45分。尾道駅から公共交通機関で行けるような場所に会社があればいいのですが、これが障害者が雇用されている企業の多くが郊外にあり、なかなか会社にたどり着けません。送迎ももちろんありません。

原付バイクで島からしまなみ海道は無謀な旅でして、毎日通うのは普通でも難しいです。自動車免許を取得できれば一番良いのですが、これも難しいです。能力的には免許を取得できる方でも、なかなか現実には免許を取って運転して約1時間の道のりを通勤するというのを考え付きません。

そもそも、島からほとんどの方が一人で出かけることがない状況で高等部まで育ちます。あったとしても、ご家族の自家用車で移動しますから、ひとりで出かける経験も乏しいのが現状です。

では、生活そのものを自宅を離れて暮らすことも考えられるでしょうが、これもなかなか踏み切れませんし、グループホームもほとんど空きがありません。来年4月から通うので、10月くらいからグループホームを探すといっても、今すぐにグループホームに入りたい人もおり、4月には埋まっている状況です。将来はいるであろう人にグループホームが提供できるほど資源はまだ潤沢ではありません。

現実を考えると、その人がやってみたいことを達成するには、たっくさんのバリアがあります。制度や施策の構造的なバリア、個人の背景的なバリア、物理的なバリア、心理的なバリアがあるように感じます。3年生になると希望することもできなくなるような、そんなことにならないようにする地域が必要だと感じました。島だけで、特別支援学校だけで、教員だけで、町内だけで、企業だけで、行政だけで、考えるのではなく、みんなで考える課題だなぁと思いました。

駅前にあるちゃんくすです。この立地を考えるといろんなことができるかなと。

2013年6月28日金曜日

ワンライトさんの職場訪問

久しぶりになってしまいました。ブログの更新です。今日から日本作業療法学会が大阪で開催されています。が、今年は参加せず三原でしこしことやっております。
 今日は福山にあるワンライトさんの職場訪問をしました。ワンライトさんは印刷会社。伝票印刷が主ですが、6年前からはいろんな物への印刷を行っていて、キーボード、のれんなど立体のものにも印刷できる設備を導入して、さまざまなチャレンジを行っています。また、この会社の社長さん高橋さんは広島県中中小企業家同友会の障害者問題委員会、バリアフリー委員会の委員長をしており、障害者を雇用している企業でもあります。

ちゃんくすからは、高校生ら6名で参加しました。印刷業とはどのような仕事か?という単純な動機で見学に行ったのと、3月に行われた就労体験報告会での特別講演をお願いしたこともあり、一度は行ってみたい企業とちゃんくす一同思っていたからです。

いつも見る新聞の中に入っている広告がどのようにしてできるかを、ひとつひとつ丁寧に教えていただきました。印刷をする会社は印刷ばかりしていれば成り立つ商売か?といえばNO「いいえ」です。お金の計算をする人、デザインを決める人、印刷する人、ダンボールを作る人、運送する人、電話での応対をする人…などなどたくさんの仕事があります。ひとりひとりがすべて同じ人だったら、この仕事はできない。ひとりひとりが違って、得意なこと、苦手なことがあるから会社は成り立っている。何か1つでいいから、自分ができることを探しなさい。

私たちの仕事、ちゃんくすのミッションは、やってみたい作業が出来るように支援することです。しかし、就職とか学校とかでの支援をしていると、ひとりひとり違うはずなのに同じようなひとになりなさいと強要しているように感じます。

今日の職場訪問はその間違いを感じることが出来ました。やはりひとりひとり違っていいんです。

見学は結局終了は15時30分くらい。みなさん疲れもあったろうに、しっかりとついてきていました。お疲れさまでした。

2013年6月11日火曜日

斉藤工房で…

今日はすごいことが起こっていることを知りました。

斉藤工房への注文が舞い込みました。近所でお店をしている人でして、スピーカーを先日納品しました。その方がいいCDプレーヤーを教えて欲しい、と要望がありました。斉藤工房としては見積書などを持参し営業。説明すると「良し。じゃぁこれでお願い。」と注文をいただきました。そこまでは、普通の流れですが、そこからがすごい。

その方は斉藤工房がNHKニュースで紹介されたときに見ていて、真っ先にちゃんくすに飛び込んでこられた方でした。スピーカーを見ては「すごいなー。」と言われていました。この方、昔ちょうどPPMが流行したときが青春時代。ステレオにこだわり、大きなアンプとスピーカーを持っていました。しかし、サラリーマンになってしまってからはほとんど使われず、お蔵入りになった状態だったそうです。

月日は流れてそれから多分40年くらいに斉藤工房の出現です。「またやってみようかな」と思い、お蔵入りになった大きなステレオのアンプを出し、昔聴いていたLP版のレコードを出し、CDもたっくさん出したそうです。当分やっていなかったギターも出してきて…40年前の自分の作業をまた始めたそうです。

まさか、作業がこういう形でつながるとは思いもしませんでした。この方にとっては、時を越えて意欲というか、やる気スイッチが斉藤工房(の作業)が押されたのです。こうやって作業が中心で地域の人と人がつながり、人に影響を与えることができること。本当にすごい!と思いました。

やはり、やっていることを人に伝えるってもんです。先日、「今でしょ」の林修さんが言っていましたが、「夢は語らなきゃ損だよ。」。作業はこうやって人に影響を与えるんです。

写真はその出てきたアルバムに(Brothers four)にサインをしてもらったものだそうです。これも、ずっと倉庫に眠っていて、この(斉藤工房の)作業との出会いで出してきたそうです。往年のバンドで学生時代によく聞いていたLP版。つながるもんですなぁ。人生は。

2013年6月1日土曜日

ナミねえに会ってきました

昨日は、神戸学院大学に授業をするのと、斉藤工房のスピーカーの納品をするので車で神戸まで行きました。神戸といえばスイーツ。スイーツといえばパティシエ。ちゃんくすのパティシエくんも今や、修行中です。神戸にはプロップステーションという社会福祉法人があります。障害者という呼び名ではなく、チャレンジド、挑戦する人を応援して社会参加を促しています。平成23年12月に三原でフェリシモさんの方を講師にお招きして障害者就労支援施設の製品をフェリシモさんの作家さんが、デザインに取り入れて製品化して販路拡大をしているという話をうかがいました。その仕掛け人がナミねえさんこと竹中ナミさんです。その前から活動は時々見ていたのですが、とにかく企業とつながり、稼ぐ事業をやっていました。いまや、NHKの委員だったり、春の園遊会に招待されるは…とその活躍ぶりはテレビでもよく拝見します。神戸に行くので、ダメもとと思って会えませんか?というコールにOKをいただき、会ってきました。
私は、企業と作業所をつなぐ原動力と具体的な策はあるのか?ということが知りたかったのですが、それをはるかに超えたエネルギーと作戦と心臓(ハート)とおしゃべりでした。企業とつながるのではなく、どうすればもっとより良い社会を作るために活動できるか、どうすればチャレンジドの方々の個性を社会に活かせるか、どうすれば問題解決に向かえる人材を役割を持って社会の中で仕事が出来るか。そういう戦略の中で活動していました。何もないところからのスタート、娘さんとの出会い、いろんな個性ある人との出会いと、社会のつながりにくさに対する驚き。そのやり方には多くの反対意見もあったようですが、それでも続けていって、今やいろんな人材を社会に送り出しています。
「よい子は真似せんほうがええで。」とご自身が言われるように、既存の社会制度ではナミねえさんの戦略はできません。企業と付き合うのではなく、企業の中のひとりの人とつながり、企業を巻き込み、社会貢献を果たしながら、個人の幸せを達成するということをやっていました。
渋滞で遅れていったにも関わらず、なんとま90分もお話が出来て、また力がわいてきました。
ちゃんくすの方向を考えることが多いのですが、このまま進んで行こう、と感じました。「よい子は真似せん方がええで。」。私は真似はできませんが、私なりにやってみようと思います。つくづくですが、やはりちゃんくすは支えられているなぁと思いながら三原に帰りました。
写真は一緒に行って、授業にお招きいただき、斉藤工房のスピーカーをご購入いただいた藤原先生(左)。ありがとうございました。